人生100年時代の人生戦略(その1)

  1970年代ベルリンに留学していた。この経緯は別の機会に話すことにして今回は内閣府の『人生100年時代構想』会議を横目で見ながら人生100年時代の生き方をついて論じてみたい。

ベルリンではシュルツ、ルッパートという研究室の先輩と雑談、放談する機会が実に多くあった。その時、彼らと話した内容が、最近話題になっているリンダ・グラットンとアンドリュー・スコットの著書「ライフシフト~人生100年時代の人生戦略~」の内容に類似していることに気づいた。

教育期間を終えた後は、概ね一つの仕事で頑張り続けて現役期間を終えて、その後に長い老後期間を過ごすのが「スリー・ステージ・モデル(30シナリオ)」である。現在、それとは異なる人生モデルが必要なのではないかというのがグラットンの『ライフ・シフト』の問題意識である。

シュルツもルッパートも『我々の教授は教授からもらったテーマを定年までしてもやり切れなかった。准教授は定年までに途中で別のテーマを探し、することになるだろう。今の助教(彼ら)は定年まで少なくとも2つ別のテーマを探すことになる。

お前は少なくとも3つ別のテーマを探す必要に迫られる』というような主張をしていたことを鮮やかに覚えている。技術革新が研究者・技術者のワークスタイルを加速度的に変える。事実、ルッパートは仕事の内容を変えた。この書がベストセラーになる40年も前の話である。

 このような背景もあり、私はベルリン時代を含めてほぼ10年毎に生き方を変える、別のテーマに挑戦するということを指針に、うまくいったかどうかは別として、67才まで生きてきた。グラットンや他の関連する著作を傍らにしばしこのテーマを考えてみたい。